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TechnionJapan主催 第183回丸の内Square Academy Seminar のお知らせ 「ウイルスとは何か、その姿に迫る」

自然界には地球上全体の生物の数以上のVirus が存在する。水道の水の中にも湖や河川の水の中にも、そして海水の中にも実は無数のVirus が存在する。
海水1滴の中にはおよそ100万個から1,000万個のVirus が存在している。我々が日常的に食べている牛肉やマグロの肉の中にもVirus は無数に存在している。
それどころか我々人間の身体の中にも数えきれないほどのVirus が存在している。
よく知られているところではHerpes Virus である。このHerpes Virus は人間の体内に入ると絶対に死なない。その人間が他の原因で亡くなるまでその人間の中に存在している。すなわち完全な共存関係を人間と築いているのである。これをVirus 学では内在性Virus と言う。
人類はVirus を敵とみなして色々とVaccineを開発しようとしているが、実は人類はVirus なしには一人たりともこの世に生まれてこなかったということが最近のVirus 学の研究で分かっている。それどころか、人類のGenome遺伝情報の多く(約8%)はVirus に由来することが突き止められている。
もっと言うと、あなた方がお母さんの体内の中で哺乳類として初めて生を授かった時に重要な役割を果たしているお母さんの胎盤が出来るのは、実は人間の身体の中に昔から存在していたRetro virus が関係しているからである。これを哺乳類人類の胎盤形成の内在性Retro virus と言う。この内在性Retro virus の持つGenome 情報がなければ人類は一人たりともこの世に生まれてこないのである。何故なら胎盤が形成されないからである。
それどころではない。人類以外の地球上のあらゆる動物の遺伝情報にはVirus の遺伝情報との共存共栄の痕跡が多々残されている。はっきり言うと、Virus の持つRNA が動物のDNA の中に入り込んでいるのである。
こうして入り込んだVirus はその自然宿主つまり相性が良い宿主との間で地球に生命が誕生して以来、長い期間をかけて静かにゆっくりと存在してきたのである。つまり長い地球生命の人類をはじめとする動物とVirus との共存共栄関係が築かれたのである。
さて、ここで当然浮かんでくる疑問が何故Ebola Virus は人を殺すのか。何故Novel Coronavirus は現在地球上で猛威を振るって数万人の命を奪っているのか。何故狂犬病Virus は噛まれた人の命をほぼ確実に奪うのか。何故天然痘Virus は最近まで多くの人類の命を奪ってきたのか、という疑問だ。
言葉を代えて言うと、無機物と有機物の中間体であるVirus はDNA、RNA の遺伝情報を持っているが、共存共栄の関係にある動物の中で静かに存在し増殖をし宿主を殺さないで生きていたのが、どうして共存共栄の宿主以外のものに取り付くといきなり病原性を発揮して、そのものを殺してしまうのか。そして自分自身も死んでいくのか、これがVirus 学永遠の謎である。
地球に生命体が生まれた時以前からVirus は存在していたのか。それとも地球に生命体が生まれた為にその生命体の遺伝子が剥がれて、それも多数剥がれて無機物として存在するようになったのがVirus なのか、どちらかという問題がある。
これを考える時、どうして病原性Virus が今回のNovel Coronavirus のように地球上に発現し、病原性Virus となって生物を動物を殺してしまうのか、という疑問が浮かんで来る。
恐らくそれは地球に存在したのがVirus が先か、動物が先かという永遠の解明できない課題はさて置いて、動物とVirus との共存関係は巧妙に自然が作った共存関係であり、自然の絶妙なそして微妙な共存関係が続く限り、、そしてその共存が壊されない限りVirus の宿主である動物、人類も共存し相互に殺し合わない、いがみ合わない関係が維持されて来たのだが、例えばEbola Virus の共存関係の宿主である蝙蝠を人間が捕獲したり、接触したりしてしまうと、Virus はそのような人間の行為によってたまたま人間に侵入してしまう。この時に長い地球の歴史の中でもある特定のVirus とある特定の宿主との共存関係でない新たな生き物にそのVirus が侵入することによって、Virus に意図しない病原性がその新生き物との間で生まれ、場合によっては致死率100%、そして今回のNovel Coronavirus のように致死率数%という病原性を発揮することになるのである。
さて、以上の議論はさて置き、今回のNovel Coronavirus が人間の体内で病原性を発揮しないようにする方法としては、
治療薬とVaccineと大まかに分けられる。
治療薬は例えば、様々な抗Virus 薬や、あるいはVirus のRNA を切断する酵素薬、通常言われる阻害剤を使ってVirus が人間の体内で拡散出来ないようにする。そしてもう一つがVaccineである。
VaccineというのはNovel Coronavirus の抗原を人体に摂取して、人体が持つ自然の免疫応答反応を誘導するものである。
また今回のNovel Coronavirus に対しては中国で特に武漢で盛んに臨床試験が行われているのが抗体療法である。Novel Coronavirus に感染して治癒した人の血清にある抗体を治療目的で投与する。Virus 学、免疫学で言う受動免疫療法である。
今回はEbola Virus の研究の第一線の世界的に著名な北海道大学教授の高田先生にお越
しいただき、「Virus とは何か、その姿に迫る」というTitle でお話をいただく。
※コロナウイルスへの政府の対策で東京都内に来れなくなった場合もZOOMで講演いただく予定です。
なお、今回のセミナーは現下の公衆衛生上の観点から30名のキャパシティーの部屋に約10名の皆様を収容する手配を整えました。
窓もdoorも寒いですが開けっ放しにします。
よって濃厚接触は可能な限り回避したかたちでのセミナー開催となります。Questioner Seatも設置し、発言者と聴衆の距離を持たせる配慮をしております。
場所:学士会館 302号室(東京都千代田区神田錦町3-28 電話:03-3292-5936) https://www.gakushikaikan.co.jp/


