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第75回丸の内スクエア・アカデミーの報告
室内管弦楽と言うよりも、さらに奏者とAudienceが接近した音楽会は皆様もあまり経験したことがなかったでしょう。元々ルネッサンスの頃、貴族の館では今回のようなサロン・コンサートが行われており、奏者の息づかいが手に届く距離で演奏され、また奏者との会話も楽しみの一つでありました。バイオリンを弾く大曲翔・バイオリニストとピアノを弾く外川真理亜・ピアニストと我々Audienceとの間にはほぼ1メートル、2メートルという距離しかありませんでした。そこで聴くバイオリンの迫力は大したものでした。しかも曲目は以下の通りです。
エルガーの 愛の挨拶
クライスラーの 愛の悲しみ
クライスラーの 愛の喜び
バッハの G線上のアリア
クライスラーの 美しきローズマリー
マスネの タイスの瞑想曲
モンティの チャルダッシュ
ブラームスの ハンガリー舞曲一番、五番
ベートーベンの ロマンス二番
ワックスマンの カルメン幻想曲
チャイコフスキーの なつかしい土地の思い出
この曲の合間に幼い頃からヨーロッパ、そしてアメリカの音楽大学、アメリカの音楽大学院、そしてアメリカの音楽大学博士課程と進んできた苦労話、量子物理学の学位も取りながら音楽の道に進んだ話、アメリカの音楽教育の凄さ、特に人と変わっていることを賞賛するアメリカの音楽教育の良さなどについてのTalkも素晴らしいものがありました
が、何といっても間近、というよりも1メートル、2メートルの距離で聴くバイオリンというものが実は太鼓以上に恐ろしいエネルギーを使う楽器である, ほとんどドラムと同じようなものである, しかも、バイオリンの弦を弾くこの弓に張ってある馬の尻尾のガットがピンピンと切れていく様、しかも演奏が終わるまでに10本ぐらいは切れていく様は丸の内スクエア・アカデミーならではの迫力でした。
バイオリニスト及びピアニストのお二人が今後益々活躍されることは間違いありません。丸の内スクエア・アカデミーとしても色々と支援を惜しまない所存であります。
<大曲翔>
旧西ドイツ・ハンブルグに生まれる。日本に帰国後、11歳のときに渡米。13歳でニューヨーク・マネス音楽大学プレパラトリー高校生のプログラムに入部、バイオリンをジヲン・キム氏に師事し、指揮者ロナルド・ブラウンシュタイン氏の勧めで指揮を学ぶ。主席で修了後、マネス音楽大学バイオリン科に入学。同大学の属する総合大学で脳科学や量子力学、五ヶ国語などを学び、唯一の理学士課程修了者として卒業する。アイリーン・ダイアモンド、バーネット・ブリースキン、東京財団などの援助の下、ジュリアード音楽院修士課程バイオリン科でサリー・トーマス氏に師事。2011年9月よりニューヨーク州立大学ストーニーブルック校博士課程バイオリン科で州から学費免除を含む州法上留学生に許される最大援助を受け、フィリップ・セッツァー、スービン・キム両氏に師事する。同州立大学と、マネス音楽大学では録音エンジニアも務める。バイオリンをこのほかアン・セッツァー、クラウス・ハーテル、ヨーセフ・リッシン、クシシトフ・ヴェグジン、ウィリアム・ヴァン・ダー・スルート各氏、指揮をスコット・ワイリー、ミリアム・バーンズ各氏に学ぶ。五嶋みどり、ヒョ・カング、アニー・カヴァフィアン、ジェームス・エネス、ライプツィヒ四重奏などほか多くの音楽家のマスタークラスに参加する。